2008 Fiscal Year Annual Research Report
価数制御によるスピネル型希薄磁性半導体の設計と開発
Project/Area Number |
08J02799
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 博之 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パルスレーザー堆積法 / スピネル型酸化物 / 酸化ガリウム / X線吸収分光法 |
Research Abstract |
非磁性半導体への3d遷移金属元素等の添加により磁性を付与させた希薄磁性半導体は,スピントロニクスへの応用の観点から注目を集めている.これまでに,様々な系に対して活発な研究が進められ,TiO2:CoやZnO:Mn,GaN:Mn等において室温での強磁性が報告されている.著者らはこれまでに,サファイア基板上に堆積したMn添加Ga2O3がスピネル構造を呈し,室温においても強磁性を示すことを確認した.本研究ではMn添加Ga2O3薄膜と同じスピネル型の結晶構造を持つMgAl2O4基板上に成膜を行い,結晶構造やMnの局所電子状態を解析した. 薄膜はパルスレーザー堆積(PLD)法によりMgAl2O4(100)基板上に堆積した.成膜中の基板温度は400℃,500℃,600℃とし,酸素分圧は50mPaとした.ターゲットにはGa2O3:5%Mn焼結体を用いた.得られた薄膜についてXRD,AFM,SEM,TEMによる構造解析を行うとともに,SQUIDによる磁化測定を行った.また,Mnの局所電子状態を調べるため,X線吸収分光法によりMnのKおよびL吸収端微細構造(XANES)を測定した. XRDおよびTEMによる電子回折から,MgAl2O4(100)上に基板温度500℃で成膜したMn添加Ga2O3薄膜はスピネル構造を有するg相として成長することがわかった.また,Mn添加Ga2O3薄膜のM-H曲線が室温においても,はっきりとしたヒステリシスを示し,強磁性体であることが確認された.Mn添加Ga2O3薄膜のMn-L2,3吸収端XANESの実験スペクトルを、Mn添加ZnO薄膜やMnOのスペクトルに見られるMn2+の特徴的な鋭いピークを参照にすると、Mn添加Ga2O3薄膜のXANESスペクトルにも同様の構造が見られることから,Mnは主に+2価の状態で存在しているといえる.
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Research Products
(3 results)