2009 Fiscal Year Annual Research Report
体液ナトリウムレベル検出及び塩分摂取行動制御機構の解明
Project/Area Number |
08J02810
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
長倉 彩乃 The Graduate University for Advanced Studies, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Na_xチャネル / バソプレッシン / 体液恒常性 |
Research Abstract |
体液恒常性は水分及び塩分(ナトリウム、Na)の摂取行動と腎臓による排泄機能により厳密に制御されている。動物は脱水状態に置かれると体液中の水分が失われ、血中Na濃度の上昇が引き起こされる。Na濃度の上昇は脳内Na濃度センサーであるNa_xチャネルにより検出され、その情報が塩分摂取行動の抑制につながることが、これまでのNa_xノックアウトマウスを用いた研究により明らかとなった。また、体液Na濃度の上昇は下垂体後葉ホルモンである抗利尿ホルモン(バソプレッシン、VP)の産生及び分泌を上昇させ、腎臓における水の再吸収を促進することで体液の損失を防いでいる。VPの産生及び分泌は体液中の浸透圧上昇により引き起こされると考えられているが、体液の浸透圧上昇がどのように検知され、VPの制御に関与しているのかは明らかになっていない。体液浸透圧を決定している主な電解質はNaであることから、Na_xチャネルがVPの制御に関与している可能性がある。そこで、Na_xノックアウトマウスと野生型マウスで24、48および72時間脱水後のVPの産生及び分泌に差があるのかを調べた。脱水後のVP産生細胞のある視策上核におけるVP発現量ならびに、血中および尿中のNa濃度とVP量を比較した結果、両遺伝型マウスで有意な差はみられなかった。脱水は体液Na濃度の上昇だけでなく、体液量不足も引き起こし、様々なストレスがかかることから、腹腔内に高張食塩水を投与し体液Na濃度だけを上昇させた際のVP分泌量を比較してみたが、両遺伝型マウスで有意な差はみられなかった。以上のことから、体液Na濃度の上昇によるVPの産生及び分泌の制御にNa_xは関与していない可能性が示唆された。また、脱水前後の水分摂取量にも、Na_xノックアウトマウスと野生型マウスで差がみられなかったことから、Na_xチャネルは体液中の水分の恒常性には関与していないと考えられた。
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Research Products
(1 results)