Research Abstract |
兵庫県,大阪府,京都府,山形県の小学校計8校に在籍する小学3年生から小学6年生までの児童1,723名を対象として,1学期(4月下旬〜5月上旬)に抑うつ(村田ら,1996),社会的スキル(嶋田,1998),自動思考(Sato&Arai,2003)の質問紙を実施した。また,同じ児童を対象として2学期(9月下旬〜10月上旬)および3学期(1月下旬)には抑うつ尺度のみを実施した。 まず,抑うつ得点に及ぼす時期的な影響性について検討を行った。時期(3:1学期,2学期,3学期)×学年(4:3年生,4年生,5年生,6年生)の2要因分散分析を行った。その結果,交互作用が有意であり(F(6,2428)=5.24,p<.001),単純主効果の検定の結果,3年生(p<.05),4年生(p<.001),6年生(p<.05)において,1学期に比べて2学期の抑うつ得点が有意に高かった。 次に,1学期の時点における社会的スキルと自動思考を説明変数,1学期の時点における抑うつ得点,2学期の時点における抑うつ得点,3学期の時点における抑うつ得点をそれぞれ基準変数としたパス解析を行った。その結果,「ポジティブ思考」,「ネガティブ思考」,「引っ込み思案行動」が1学期の時点における抑うつ得点と強い関連があることが明らかになった。2学期の抑うつ得点に対しては,1学期時点での抑うつ得点がもっとも説明力が高く,ネガティブ思考もまた,2学期の時点の抑うつに影響を及ぼしていた。3学期の抑うつ得点に対しては,2学期の時点の抑うつ得点がもっとも強い影響を及ぼし,1学期の抑うつ得点も影響を及ぼしていたことが確認された。
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