2008 Fiscal Year Annual Research Report
特異な空孔規則配列を伴うシリサイド半導体のナノ構造制御と熱電特性
Project/Area Number |
08J02839
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 俊太 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 熱電変換材料 / シリサイド / 半導体 / 透過電子顕微鏡法 / 空孔規則配列 |
Research Abstract |
高温領域で非常に良好な熱電特性を示すReSi1.75は正方晶系のC11b構造中のSi原子が規則的に欠損した特異な空孔規則を伴う超格子構造を有する.ReSi1.75は一金属原子あたりの価電子数VECが14で安定な半導体であり,価電子数の異なる第三元素で置換を行うことによって結晶中に面欠陥が導入されSi空孔濃度および,配列を変化させることができる.本年度の研究では種々の熱処理を施すことによって二元系ReSi1.75の空孔規則配列を変化させた際に生じる熱電特性の変化および,変化した空孔規則配列の熱力学的な安定性を調査した. 透過電子顕微鏡法を用いた詳細な微細組織観察の結果,熱処理を施すことによって導入される面欠陥は空孔濃度が減少していることがわかった.この結果は言い換えるとSi濃度が増加しているということである. 熱処理を施すことによって欠陥が導入された結晶の電気伝導はn型半導体であり,結晶中に面欠陥が導入されていない結晶がp型半導体であるのと大きく異なることがわかった.このことから導入された面欠陥がバンド中にドナー準位を形成するということを見出した.更にこのように熱的に導入された面欠陥は500度以上である一定時間以上熱処理を施すことによって消滅させることができ,熱処理時間をコントロールすることで面欠陥の量を制御できることを見出した.面欠陥の量は直接電子密度の相当することから面欠陥の量を通して電子密度を変化させることができるはずで,熱処理条件を変えて電気的な特性を測定したところ予想通り電子密度を変化させることに成功した.
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Research Products
(3 results)