2008 Fiscal Year Annual Research Report
錯体の持つ特異な凝集性と光物性を利用した有機半導体デバイスの開発
Project/Area Number |
08J02940
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嘉部 量太 Kyushu University, 未来化学創造センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電界効果トランジスタ / 有機半導体レーザー / 単結晶 / 光物性 |
Research Abstract |
目的:電流励起型有機半導体レーザーの実現化に向けて、低閾値でのレーザー発振は重要な課題である。単結晶中では分子は一様に配向していることから、発光特性に有利であると考えられるが、そのASE閾値は薄膜で報告されているものに比べても、なぜか高い値を示している。そこで、本研究では、ASE発振にもっとも適した分子集合状態を明らかにするため、単層蒸着膜、ドープ膜、単結晶および溶液の光物性を測定し、これらの比較から、結晶化が光物性に与える影響の解明を試みた。 結果と考察:単層蒸着膜の発光量子収率67%であるのに対し、ドープ膜の場合、量子収率は89%と、単層蒸着膜に比べて良い値を示した。これは、ホストに分散させることで、濃度消光が抑制された結果であると考えられる。これら蛍光は温度依存性を示し、単層蒸着膜の場合、温度低下に伴って量子収率は向上し、7Kでは88%を示した。一方、単結晶の場合、発光スペクトルは薄膜とほぼ一致するのに対し、量子収率は常温でも88%と非常に高いことがわかった。この値は薄膜を低温にしたときに近い値であり、このことから、単結晶状態では分子間相互作用により、非放射失活か抑制されたものと考えられる。また放射失活速度定数k_rの値は、薄膜と単結晶でほぼ等しく、モルフォロジーによって変化しないことが明らかとなった。 ASE測定において、ドープ膜と単結晶のみが、ASE発振を示した。薄膜ではASE発振を示さないのに対して、ドープ膜では、437nmの0-1遷移でASE発振が観測された。また、薄片状結晶もよいASE特性を示した。発振波長452nmで、閾値は14□J/cm^2であった。薄膜と単結晶は近いk_rの値をもつのに対し、単結晶のみがASE発振を示したことから、ASE発振閾値はk_rの値だけでなく分子の集合状態にも影響を受けることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)