2010 Fiscal Year Annual Research Report
カイコにおけるファンコニ貧血原因遺伝子群に依存したDNA修復経路の解析
Project/Area Number |
08J02957
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
管原 亮平 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA修復 / 昆虫培養細胞 / タンパク質翻訳後修飾 |
Research Abstract |
カイコのFancD2は一過的に発現させた条件下で非常にモノユビキチン化されにくい現象は前年度までにすでに報告していたが、本年度は恒常的に発現させたFancD2はMMCという薬剤依存的に、高い割合でモノユビキチン化されるということを明らかにした。さらにこのユビキチン化には、FancI, FancL, FancMというタンパク質がそれぞれ要求され、Usplというタンパク質はモノユビキチン化に対し抑制的に働くということも、欠損細胞の系で明らかにした。さらに、ファンコニタンパク質がMMC薬剤に対する抵抗性に必要であるのかどうかを細胞増殖試験によって検討した結果、FancD2, FancI, FancL, FancMをそれぞれ欠損した細胞では、MMC薬剤に対して感受性を呈し、DNA二重鎖間架橋修復に必要であることが示唆された。次に、FancMについて詳細な解析を行った。ウェスタンブロットのバンドシフト解析によりFancMは培養細胞内で一過的に発現させた際、リン酸化修飾が起こっていることが明らかになった。昆虫ツーハイブリッドの系により、Mhfl, Rmilというタンパク質とそれぞれ相互作用することを明らかにした。FancMがこの二つのタンパク質と相互作用する領域はそれぞれ異なっており、Mhflとの相互作用ドメインの方が、RmilのそれよりN末端側であった。RMilとFancMの相互作用には、RMil上にある二つ目のOB-foldが必須であることも明らかになった。以上をまとめると、カイコのファンコニ経路では、ヒトの経路と類似した機構が保持されていると思われる。
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