2008 Fiscal Year Annual Research Report
家族/非家族境界と生-政治-新しい「生の基盤」を巡って
Project/Area Number |
08J02959
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保田 裕之 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 家族 / 生-政治 / 居住運動 / 私的所有 / スクワッティング |
Research Abstract |
初年度にあたる20年度の研究成果は、以下の通りである。 第一に、新たな「生の基盤」を考える前提として、これまで社会の基本単位として再生産機能を果たしてきた家族を、生-政治の観点から理論的に検討した。また、80年代からの日本の家族社会学において主流である「家族の多様化」という概念把握を批判的に検討し、人々の生存・生活を家族生活と切り離して保障するための、家族概念の分節化を提唱した。これらの成果は、2009年4月に刊行される『家族社会学研究』21巻1号に掲載が決定している。 第二に、家族と非家族の境界に関して、私的所有論、コモンズ論、公共圏・親密圏論、生-権力論から理論的な検討を行った。その中で、(1)居住の協働における共有概念の検討、(2)承認理論と家族/非家族、(3)家族居住における空間配置と生-権力、という三つの視点から、それぞれ論文を執筆している。(1)および(2)は次年度に雑誌論文として投稿され、(3)は共著として刊行される予定である。 第三に、研究計画に従いオランダ・アムステルダムでのスクワッティング調査を実施した。具体的には、スクワット運動とアナーキズムに関する英語・オランダ語文献の収集と、実際に運動に携わる人々への聞き取り調査などを行った。その結果、居住運動を、(1)住居自体を求める運動、(2)居住の安定を求める運動、(3)居住の意味を変容させる運動として類型化するならば、居住の意味を変容させつつ((3))住居自体を求めていく((1))スクワット運動と、居住の安定性を求める((2))家族的関係は一種の緊張関係にたち、この緊張関係が運動を拡大する要因でもあることなどが明らかになった。これらの成果は、次年度の第二次フィールドワークの結果と併せて、雑誌論文として投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)