2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代イラン政治の動態的把握-社会と宗教の相互依存と拮抗関係
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08J02960
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 賢治 Kyoto University, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シーア派 / イラン政治 / イスラーム法学 / 宗教教育 |
Research Abstract |
本年度における研究実施は第一にアラビア語法学文献の読解、第二に資料収集と海外における学術調査を中心に行った。第一のアラビア語法学文献の読解に関しては、19世紀の高名な法学者ムルタダー・アンサーリーによって執筆された法学書『共益の書(マカースィブ)』を中心に読解を進めた。それは1979年以降のイラン政治が法学者を中心に展開してきたなか、彼らの専門知識であるイスラーム法学を学ぶためにその養成機関であるマドラサにおいて教科書として用いられてきた、そして用いられている。このようなアラビア語法学文献の読解を今後も継続し、法学者の専門知識であるイスラーム法学の構造について明らかにしていきたい。 第二の海外における学術調査は、2008年9月から10月末にイラン・イスラーム共和国コム州コム市を中心に実施した。同調査においては、法学者の中でも最上位に位置づけられる法学権威が構える事務所における参与観察、文献収集を行った。法学権威事務所における参与観察では、日常業務について焦点を当て、社会と宗教界の接点について調査した。また法学権威の現状が複雑化していることが先行研究によって指摘されていることから、イラン国内で事務所を構える法学権威の本部事務所の所在を調査するとともに、その地方支部の所在についても調査した。また文献収集に関しては、発行部数が少ない一方で発行種類が多いという出版事情に合わせ、図書館において貴重文献の複写を行った。
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Research Products
(2 results)