2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02967
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
池田 智恵 Waseda University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 探偵小説 / 三面記事 / 新聞報 / 快活林 / 中国 / 近代 |
Research Abstract |
中国近代における探偵小説の発生を考える上で、当時の中国の新聞文芸欄(当時の一般市民にとっては重要な娯楽であった)の存在は重要であり、その中に見える探偵小説の掲載状況を明らかにするため、5月には資料(民国期雑誌「礼拝六」)購入を含め短期(5/8-5/13)の、8月-9月には長期(8/1-9/22)の資料調査を上海図書館に赴いて行った。主な調査対象は、『新聞報』文芸副刊「快活林」であり、方法としては、目録を作成しながら、その中に、探偵小説やそれにかかわるものが存在しないかどうかを調査した。それにより、まず、1914年から1918年までの探偵小説の掲載状況が明らかになった。また、新聞文芸欄において、読者がある新聞記事をフィクションとして受容し始めているという事実が見えてきた。このような状況はフランスやイギリスなどの探偵小説発生の前段階として、新聞記事(特に三面記事)と読者の関係として指摘されており、中国でも見られることは非常に興味深い。6月と9月には、これを「五十元の接吻-『新聞報』「快活林」「諧著」にみる近代性」というタイトルで早稲田大学と上海大学で発表を行った。 またこの調査で、1900年代から始まった探偵小説の翻訳ブームから1920年代に本格的に創作探偵小説が生まれるのに先駆けて、投稿小説コンテストという形で探偵小説の創作が見られた。これにより、当時の人々がどのように探偵小説を捕らえていたかの一端が見えてくることになり、その中では、探偵小説という舶来のジャンルを、苦心しながらも描こうとしている作家たちの姿が見える。まだ文体としても題材としても未熟ではあるが、中国の作家たちが1915年前後には探偵小説的なものが書けるようになってきた、探偵小説が中国へと移入されてきたことが明らかになった。これについては3月に早稲田大学にて発表を行った。
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Research Products
(4 results)