2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02970
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坪 瑶子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分裂酵母 / 有性生殖 / TOR / 栄養源認識 / シグナル伝達 / 分子生物学 |
Research Abstract |
分裂酵母のTOR経路が、どのように栄養源を認識して有性生殖の開始を制御しているのかを解明するために、未だ明らかとなっていないTORC1(Tor2)の下流の新規因子の探索を行い、以下の二つの候補因子を見出した。 1.AGCファミリーキナーゼPsk1 哺乳類や出芽酵母のTORは、AGC(protein kinase A,G and C)ファミリーキナーゼをリン酸化し、さまざまなシグナル伝達経路を制御していることが知られている。本研究では、分裂酵母AGCキナーゼでTORC1の下流に存在するものがないかを探索した。その結果、分裂酵母AGCキナーゼのPsk1のリン酸化状態がTor2依存的であることがわかった。さらに、tor2温度感受性株の温度感受性をPsk1が部分的に相補できることがわかった。これらのことから、Psk1がTor2経路上に存在する可能性が考えられた。また、Psk1のリン酸化状態が、窒素源などの栄養源によって制御されていることを示した。 2.減数分裂マスター制御因子Mei2 分裂酵母のTor2は、他の真核生物と同様に複合体TORC1を形成して機能しているが、分裂酵母TORC1の構成因子の一つであるMip1は、もともとは減数分裂のマスター制御因子であるMei2の活性化型変異によって引き起こされる異所的減数分裂を抑圧する因子として単離されていた。近年、Tor2とMei2が物理的相互作用を示すという報告がなされた。これらのことから、Mei2とTor2との間に密接な関係が存在する可能性が考えられたので、これについて検討した。Mei2は栄養増殖期においてはPat1キナーゼによって不安定化されることが報告されている。本研究では、Tor2もMei2の安定化を制御している可能性が示された。また、Tor2が直接Mei2をリン酸化していることもin vitro kinase assayによって確認した。これらのことから、Mei2がTor2の直接のターゲットであり、Tor2がMei2を介して有性生殖開始を制御している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)