2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02970
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坪 瑶子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分裂酵母 / 有性生殖開始 / TOR / 翻訳 |
Research Abstract |
分裂酵母のTOR経路が、どのように栄養源を認識し、有性生殖開始を制御しているのかを解明するために以下の二つの方針で研究を行った。 1.Tor2p経路の新規因子の探索 分裂酵母では、Tor2pの下流の因子は未同定である。本研究では、Tor2p経路上の新規因子を単離することを目的として、いくつかのスクリーニングを行った。異なる機能が損われていると予想されるHEATリピート部位に変異が入ったtor2温度感受性株とキナーゼドメインに変異が入ったtor2温度感受性株を使い、それぞれ高温感受性を抑圧する因子のスクリーニングを行った。その結果、キナーゼドメインに変異が入ったtor2温度感受性の抑圧因子として、TORC複合体構成因子のWat1pが得られ、HEATリピート部位に変異が入ったtor2温度感受性の抑圧因子として、新規の因子Spr1pが単離された。 Spr1pとTor2p経路の関係について詳細に検討した結果、ミトコンドリアの機能とつながりがある可能性が示された。また、Tor2pの局在を観察したところ、ミトコンドリアに局在していることがわかった。さらに、Wat1pを使ったツーハイブリッドスクリーニングを行ったところ、翻訳伸長因子eEF1の構成因子であるeEF1aが単離された。eEF1aの破壊株を作製したところ、この破壊株はtor2温度感受性株と同様の表現型を示した。また、eEF1の構成因子がTor2pと相互作用することもわかった。これらのことから、翻訳機構が、有性生殖開始の制御と関わっている可能性が示唆された。 2.Tor1pとTor2pの関係 分裂酵母には二種類のTORタンパク質、Tor1pおよびTor2pが存在する。Tor1pとTor2pは高い相同性を持つにも関わらず、対照的な機能を示す。本研究では、両者の機能の違いを構造的に探るために、Tor1pとTor2pのキメラタンパク質をつくり、tor2温度感受性株およびtor1破壊株の表現型を相補できるかを調べた。その結果、N末端にあるHEATリピート構造がTor1pあるいはTor2pとして機能するために重要であることがわかった。
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Research Products
(2 results)