2009 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおける低銅濃度環境への適応機構解明
Project/Area Number |
08J02979
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 広顕 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 銅 / 金属ストレス / 酸化ストレス / 光合成 / シロイヌナズナ / 鉄 / 活性酸素 / 恒常性 |
Research Abstract |
銅は植物にとって重要な微量金属のひとつである。銅が不足する環境において緑藻クラミドモナスは、光合成電子伝達に関与する銅タンパク質であるプラストシアニンを積極的に分解し、その代わりに鉄タンパク質であるシトクロムc6を発現させ、限られた銅の有効利用を行っている。それに対して高等植物であるシロイヌナズナは、活性酸素消去に関与するCu/Znスーパーオキシドディスムターゼ(Cu/Zn SOD)をmiRNAによりmRNAレベルで分解し、その代わりとしてFeSODの発現を上昇させることを私はこれまでの研究で明らかとした。しかしFeSODが本当にSODとして銅欠乏時に活性酸素除去に機能しているかどうかはこれまで不明であった。 そこでこの可能性を確かめるために、私はまずFeSODのknock out株(fsdl)の単離、およびFeSODの過剰発現株(FSDlox)の作成を行った。銅濃度を増減させたMS寒天培地で生育させたfsdl、FSDloxおよび野生株に、光合成電子伝達を阻害する薬剤であるメチルビオローゲン(MV)処理および強光処理を行い植物の生育・光合成活性を観察した。まず柵処理であるが、MV処理24時間後野生株は成長に著しい阻害を受けた。またfsdlおよびFSDloxも野生株のそれと同程度の成長阻害を受けていた。さらに光合成活性の指標であるFv/Fmを測定したところfsdl、FSDloxおよび野生株でいずれも同程度の活性の減少が観察された。強光処理においてもfsdl、FSDloxおよび野生株で明確な差は観察されなかった。これらの結果から銅欠乏時に発現の上昇するFeSODはMV存在下で、または強光ストレス条件下において光化学系IIを保護していないということが示唆された。
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Research Products
(3 results)