2008 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおける低銅濃度環境への適応機構解明
Project/Area Number |
08J02979
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 広顕 Kyoto University, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / 銅 / 転写因子 / 栄養ストレス / microRNA / 恒常性 |
Research Abstract |
銅は植物にとって重要な微量金属であるが、アルカリ土壌では不溶化し植物は利用することができない。 しかし植物は、こうした銅欠乏環境に適応する様々な戦略を備えている。私はこれまでに低銅濃度時において銅濃度恒常性の維持に必須なマスター調節因子であるSPL7をシロイヌナズナにおいて同定した。 SPL7はこれまでに報告されている銅恒常性維持に関与する複数の遺伝子の発現を銅欠乏時に同時に上昇させた。そこで本年度は、SPL7のさらなる標的遺伝子を特定するためにマイクロアレイ解析を行った。その結果、数十の遺伝子の発現が銅欠乏時の野生株に比べて銅欠乏時のSPL7の突然変異株において減少しており、SPL7の新たな標的遺伝子である可能性が示唆された。この中には新規転写因子も複数みられたことから、植物はSPL7を中心として複数の転写因子を用いることで多くの遺伝子の発現を制御し、銅欠乏環境に適応していることが示唆された。また逆に、銅欠乏時におけるSPL7の突然変異株において、銅欠乏時の野生株に比べて発現が上昇する遺伝子も複数確認された。SPL7は転写活性化因子であることから、SPL7が銅欠乏環境において前述の転写因子やmicroRNAを介してこれらの遺伝子の発現抑制を行っている可能性が示唆された。これらの結果からSPL7は植物が銅欠乏環境へ適応するための極めて必須な因子であることがあらためて明らかとなった。また本年度の研究成果をとりまとめ学術雑誌Plant Cellに投稿し受理・掲載された。
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Research Products
(8 results)