2008 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン靴産業の生産組織の経済分析 -フィールドワークによる接近-
Project/Area Number |
08J03018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 晋吾 Kyoto University, 東南アジア研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フィリピン / 地場産業 / 製造と流通 |
Research Abstract |
平成20年度は、6月に博士予備論文を基にして、アジア政経学会西日本大会で研究報告を行なったとともに、9月12日から3月30日の日程で、フィリピンに渡航し、長期の研究調査と語学研修を実施した。 長期渡航による成果を中心に述べたい。まず語学研究については、現地語のタガログ語をベースに聞き取り調査を行なえるレベルまでに上達した。語学力の向上により、より深く、正確な聞き取りが行なえるようになった。主調査地であるマリキナの製靴業者を中心に聞き取り調査を実施した結果、製品の販売先である流通・小売業者の業態に、製靴業者は強く影響を受け、販売戦略から生産方法に至るまである程度、類型化されることが分かった。具体的には、販売先には、受注規模が大きい順に、直販業者、大規模靴メーカー、ブティック、履き物小売店に大別され、製靴業者は、販売単価の高さより、受注規模の大きさの方を、より嗜好する傾向があり、したがって直販業者との取引を強く望んでいる。また、受注規模の大きい直販業者と大規模靴メーカーは、通常デザインの考案から、原材料、価格等生産を直接コーディネートしており、製靴業者にイニシアチブを握らせない体制となっている。しかし、これは製靴業者にとっても、サンプリングの負担がなくなり、販売先の信頼を得られれば、安定的に大きな受注を、営業努力をすることなしに得られるというメリットにもなっており、販売先の成長とともに自らも自動的に売上を増やしていけることにも繋がる。逆に、ブティックに関しては、販売単価が高く、利益率は高めであるが、受注のボリュームが小さく、またサンプリング負担があり、そのため他業者との競争も激しぐ、製靴業者にとっては、不安定な取引関係に甘んじるということでもある。 生産業の者行動を流通側から考察することは、フィリピンにおける商取引研究にも新たな知見を与えるものに発展することが期待できる。
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Research Products
(1 results)