2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳ガン患者のQOL向上を目指した乳房組織構築のためのヒドロゲルの開発
Project/Area Number |
08J03020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大串 裕子 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酵素架橋性ヒドロゲル / セルロース誘導体 / ペルオキシダーゼ / 脂肪組織工学 / 乳房再建 |
Research Abstract |
当該特別研究員は、上記研究課題の達成のために、本年度の研究実施計画として2項目を設定した。具体的には、1つめの項目として、本研究で開発したフェノール性水酸基含有カルボキシメチルセルロース(CMC-Ph)ゲルと細胞成長因子との複合化による組織構成細胞のライフラインである生体血管の誘導、およびCMC-Phゲルの包括細胞および生体組織に対する安全性の評価を行なった。前者では、繊維芽細胞成長因子と複合化したCMC-Phゲルをラット生体内に移植し、CMC-Phゲルの内部に生体血管を誘導できることを実証した。また後者では、CMC-Phゲルに包括した前駆脂肪細胞の生存率評価およびゲルをマウス生体内へ移植した際の炎症反応について組織学的評価を行い、CMC-Phゲルの脂肪組織構成細胞や生体への安全性を実証した。これらは、乳房再建のための細胞移植に利用するヒドロゲルを評価する上で重要な結果である。また、2つめの項目としてあげた、CMC-Phゲル表面および内部での細胞の増殖および分化の評価については、CMC-Phゲル表面での細胞の挙動について評価を行い、ゲル表面での細胞の増殖、分化および機能発現が可能であることを明らかにした。特に、ゲル表面において前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化誘導に成功した結果から、CMC-Phゲルを生体に移植した際にゲル周囲の前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化は可能であることが示唆される。ゲル表面および内部での細胞挙動は、生体へ移植後の効率的な脂肪組織体構築を可能とするヒドロゲルを開発するための重要な知見である。 以上より、本年度の研究成果は、乳房組織構築のための細胞培養担体の開発において非常に意義のある成果である。
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Research Products
(4 results)