2009 Fiscal Year Annual Research Report
光学顕微鏡による人工分子ローター1分子の回転運動の評価とその制御
Project/Area Number |
08J03027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 朋宏 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 1分子観察 / 分子ローター / ダブルデッカー / 分子機械 |
Research Abstract |
近年、光学顕微鏡による一分子観察を利用して生体分子マシンの駆動メカニズムの詳細が明らかにされてきている。こうした背景の下、人工分子マシン開発において、この観察手法の特徴を利用することはこれまでに達成できなかった機能の評価を可能とし、更なる機能設計のための強力な手段となると考えられる。その第一歩として、本研究では光学顕微鏡観察によってローター型分子の回転運動を一分子レベルで詳細に評価することを目的としている。 本年度は、ダブルデッカー型ポルフィリン錯体(DD)を基体とした人工ローター型分子を設計し、評価を行った。DDとは二枚のポルフィリン配位子が金属イオンを挟み込んだサンドイッチ構造を有した分子である。本系の分子設計では、二枚の配位子はそれぞれ、基板へ固定化される配位子(固定子)と熱振動する配位子(回転子)という役割が意図されており、特に回転子にはプローブとして200nmのポリスチレンビーズが結合できるようになっている。このビーズの運動を位相差顕微鏡で追跡し一分子観察をこころみた。顕微鏡観察の結果、基板に固定化されたビーズの中に、重心の軌跡が4回対称を示すものが観察された。この4回対称はDD回転特性の対称性に一致しているため、ビーズがDDの回転を反映していると考えられる。以上の結果は、人工的に合成されたローター型分子の回転運動評価が単分子レベルで展開できること示唆するものである。本年度の成果は人工分子マシンの分野において将来の自律型回転分子モーターという高度な分子機械の創製を意識させるきっかけとなると期待できる。
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Research Products
(3 results)