2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03034
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
島田 光平 Hokkaido University, 獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニューロペプチドY / シグナル伝達 / Gタンパク質共役型受容体 / egr1 / JAK / STAT経路 / MAPキナーゼ / ERK |
Research Abstract |
ニューロペプチドY(NPY)はさまざまな生理作用を有し、中枢では強い摂食促進作用を誘起し、末梢では血管収縮作用などを示す。これまで肥満に代表されるメタボリック症候群においてはインスリン抵抗性やレプチン抵抗性が注目されてきたが、一方でNPYを含む摂食制御系ペプチドが肥満症の発症に関与するとともに交感神経系などの自律神経系に作用しエネルギー代謝や血圧などの変化をもたらすことも証明されてきた。また、NPYは卵巣機能や乳腺の発達に関与するなど、繁殖機能においても重要な役割を担っているとされる。これら作用の多くはGタンパク質共役型受容体(GPCR)であるY1〜Y5のNPY受容体を介して引き起こされるアデニル酸シクラーゼの抑制やホスホリパーゼCの活性化で説明されてきた。本研究ではマウス肺微小血管内皮細胞株LEII細胞を用いた実験によりNPYによるJAK2の活性化示した。JAK2はサイトカインのシグナル伝達経路としてよく知られているJAK/STAT経路の上流伝達分子であり、これまでNPYによる活性化の報告はない。このことをより詳しく解析するために、NPY受容体をクローニングし強制発現させることを試みた。しかしながら現在までのところ一過性発現・恒常発現ともにmRNAレベルでの発現は見られたが機能的な受容体の発現には至っておらず、改善を行っている。また、LEII細胞を用いた実験はNPYがMAPキナーゼの一つであるERKを介してJAK2の下流に存在するSTAT3の機能を調節する可能性を示唆した。摂食抑制ホルモンとして知られているレプチンはサイトカインと同様にJAK/STAT経路を活性化することが知られており、NPYがレプチンのシグナル伝達に影響を与える可能性について現在検討中である。
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Research Products
(1 results)