2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03051
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野 慎子 Hokkaido University, 大学院・農学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バキュロウイルス / 多角体タンパク質 / 遺伝子間ネットワーク解析 |
Research Abstract |
主に昆虫を宿主とするバキュロウイルスの多角体タンパク質は、感染細胞の総タンパク質の50%を占める程大量に産生されるが、その高効率なタンパク質発現能を利用したバキュロウイルス発現系、特にカイコ個体とBmNPVを用いた発現系は、現在、真核細胞での最も効率の良いタンパク質発現系の一つとして知られている。そして多角体タンパク質のこれほどまでの爆発的発現は、単独ではなく、様々なウイルス遺伝子が相互作用することで起こることがこれまでに明らかになっている。よって、爆発的発現を可能にしているメカニズムの解明には、それに関わる遺伝子間ネットワーク解析を行う必要性がある。本研究では、バキュロウイルスの多角体タンパク質遺伝子(po1h)高発現能に関わるウイルス遺伝子の特定を行い、それらが作り上げているネットワークを明らかにする。そして、個々の構成遺伝子単位ではなく、po1h高発現支援ネットワーク自体を抽出利用する技術を確立することを目的としている。そのためにまず、逆遺伝学的手法を用いて標的遺伝子の探索を行うことにした。BmNPV(T3標準株)は全塩基配列が判明しているため、本研究室において既に確立したBmNPV T3株のbacmidシステムを用いて、ウイルス遺伝子(約130個)をそれぞれノックアウトした組換えウイルスを作製した。組換え体を高効率に得るために導入したλ-Red recombinaseシステムにより、当初2年間を要すると予想していた全ノックアウトウイルス作製(136種類)を現在までに完了することができた。さらに、感染時におけるpo1h発現の評価系の検討を行った。作製した組換えウイルスにpo1hプロモーターの制御下でGFPを発現できるユニットを組み込むことで、po1hの発現量をGFPの蛍光量で検出することを可能にし、また大量のサンプルを同時にかつ経時的に観察できる系を確立した。
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Research Products
(2 results)