2010 Fiscal Year Annual Research Report
アレン化合物を鍵中間体としたアルケン型イソスターの分岐的合成法の開発と応用
Project/Area Number |
08J03061
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井ノ口 恵利子 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ペプチドリード創薬 / イソスター / アミジン / ニトリルオキシド / FC131 / CXCR4 / アミドキシム / RGDペプチド |
Research Abstract |
ペプチド結合の生物学的等価体(バイオイソスター)への置換は、生理活性ペプチドをリードとする創薬研究において、生物活性や生体内安定性の向上を目指すための重要な方法論の一つである。このうち、ペプチド結合部位に新たな構造的・静電的特性を付与した官能基への変換は、活性や安定性の大幅な向上が期待できることから、多様な骨格が開発されると共にその成功例が報告されている。報告者は、ペプチド結合に似た二重結合性を有する塩基性官能基であり、水素結合供与能を持つアミジン型イソスターに着目し、化学合成法の確立と生理活性ペプチドへの応用について検討を行った。 報告者は、Fmoc固相合成法により合成したペプチドアルドキシムを原料とし、系中で生成したニトリルオキシドに対してペプチドのα-アミノ基を作用させ、アミドキシムを鍵中間体として得た。続いて、得られたアミドキシムを還元反応に付すことで、目的とするアミジン型イソスターを合成した。本合成法を用いて、インテグリンα_vβ_3アンタゴニストとして知られる環状RGDペプチド誘導体と、ケモカイン受容体CXCR4拮抗活性を示す環状ペンタペプチドFC131誘導体を合成した。さらに、アミジン含有FC131誘導体はFC131と比較して高いCXCR4拮抗活性を示し、アミジンへの変換による塩基性官能基の導入が活性に寄与していることが示唆された。 以上の結果より、報告者は、本法がアミジン含有生理活性ペプチドの合成に適用可能であることを示した。また、FC131の分子サイズを変えることなく、FC131よりも大幅に活性の高い複数のアミジン含有誘導体を見出した。これらの誘導体は、SDF-1/CXCR4系が関与する様々な疾患に対する薬剤および研究用試薬として有用であると考えられる。
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Research Products
(5 results)