2008 Fiscal Year Annual Research Report
腸管の平滑筋およびカハール細胞におけるムスカリン作動性カルシウム制御機構
Project/Area Number |
08J03080
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
棚橋 靖行 Gifu University, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ムスカリン受容体 / カハール細胞 / 平滑筋細胞 / カルシウムイオン / ノックアウトマウス / ミュータントマウス / 蠕動運動 / カルシウム電流 |
Research Abstract |
本研究では、腸管の平滑筋およびカハール細胞におけるムスカリン受容体を介したCa^<2+>動員の制御機構を明らかにし、過敏性腸症候群などの消化管機能異常をきたす疾患に対する新たな戦略基盤を提供することを目的とした。得られた成果は以下の通りである。(1)平滑筋細胞内のCa^<2+>制御において重要な役割を果たしている電位依存性Ca^<2+>チャネルの抑制機構を明らかにするために、M_2およびM_3のムスカリン受容体サブタイプが欠損したマウスを用いて解析した。その結果、M_2/G_<i/o>を介した抑制経路、M_3/G_qを介した抑制経路、M_2/G_<i/o>とM_3/G_qの両方の刺激と細胞内のCa^<2+>を必要とする抑制経路の3つが存在していることが明らかとなった。(2)平滑筋細胞内のCa^<2+>制御におけるカハール細胞の役割を明らかにする手始めとして、カハール細胞が欠損したミュータントマウスを用いて、ムスカリン受容体を介した蠕動運動の調節に同細胞がどのような役割を担っているのか検討した。その結果、カハール細胞は、蠕動運動において縦走筋と輪走筋が同調して収縮する運動には関与しておらず、むしろ同調した収縮が周期的に発生するのに重要であることが明らかとなった。また、ムスカリン受容体の各サブタイプを欠損したマウスにおいても同様な実験を行ったところ、M_3欠損型マウスにおいても周期性が認められなかったことから、カハール細胞のM_3受容体が周期性に関与していることが考えられた。以上の成果は、第82回日本薬理学会において発表した。また、平滑筋のCa^<2+>制御に関与しているムスカリン作動性陽イオンチャネルの活性化機構に対する研究にも一部参加し、1編の学術論文として公表した。さらに、専門誌への投稿を準備中であり、2009年に行われる国際生理学会や国際自律神経学会においても発表を予定している。
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Research Products
(3 results)