2009 Fiscal Year Annual Research Report
都市日雇労働市場の動態と社会-空間的排除のメカニズムに関する地理学的研究
Project/Area Number |
08J03095
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原口 剛 Kobe University, 人文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 労働運動 / 都市 / ジェントリフィケーション |
Research Abstract |
2010年度は、1970年代以降釜ヶ崎において活発になる日雇労働運動が、どのように展開し、また労働市場の性質をどのように改変したのか、という点を解明することを目的とする研究を中心的に行った。これを明らかにするために、労働運動の当事者に対するインタビュー調査を精力的に行い、また関連する資料の収集・整理を行った。この調査研究で得られた知見は、「都市日雇労働運動の動態に関する地理学的研究-空間的固定化/回避・スケール・場所」と題し日本地理学会において学会報告を行い、高い評価を得た。 また、労働運動の当事者へのインタビュー調査に際しては、かつての労働運動の展開過程に加え、現在のまちづくり運動に対する評価やかかわりについて聞き取り、データ収集を行なった。これら現在のまちづくり運動に関する調査研究で得られた知見の一部は、「社会包摂に向けた地域組織の取り組みとその可能性-大阪・釜ヶ崎を事例として」(佐々木雅幸・水内俊雄編著『創造都市と文化包摂-文化多様性・市民知・まちづくり』水曜社、2009所収)としてまとめた。 最後に、このような実証研究と併行して、労働市場論、社会運動論に関する先行研究を批判的に検討し、欧米地理学における議論を積極的に吸収することで、本研究の課題に関する理論的視点をより深めた。この理論的研究に関しては、「ジェントリフィケーション」(白石嘉治・矢部史郎編著『VOL lexicon』以文社、2009所収)および「都市社会の分断を読み解く」(竹中克行ほか編著『人文地理学』ミネルヴァ書房、2009所収)にまとめあげている。
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Research Products
(4 results)