2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03104
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岸本 良美 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | アスタキサンチン / 動脈硬化 / 血管内皮機能 / 高血糖 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的は、食品因子が有する様々な抗動脈硬化作用を、メカニズムの解明を併せて検討することである。本年度は食品因子として、カロテノイドの一種であるアスタキサンチンに注目した。アスタキサンチンはサケやイクラなど、主に海洋生物に存在するカロテノイドの一種で、強い抗酸化能を有するが知られている。そこで、動脈硬化症における危険因子の一つとして、高濃度のグルコース下における血管内皮細胞での炎症反応に注目し、アスタキサンチンによる抑制作用を検討した。 ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)に、高血糖刺激として33mMのglucoseを含むRPMI-1640培地を添加し、アスタキサンチン10μM,20μMと共にインキュベーションした。活性酸素種(ROS)産生量を蛍光指示薬(DCFH-DA)を用いて測定した結果、アスタキサンチンは高血糖刺激により増加したROS産生を有意に減少させた。そこで、NADPH oxidaseの活性化をWestern Blot法にて検討したところ、アスタキサンチン添加によるrac 1の発現抑制が示された。炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-1βのmRNA発現量は高血糖刺激により、それぞれ2.8±1.3倍、3.1±1.6倍と有意に増加したが、アスタキサンチン10μM添加により1.0±0.3倍、1.2±0.5倍と有意に抑制した(p<0.05)。また、アスタキサンチンは高血糖刺激により減少したeNOSのmRNA発現量を有意に増加させた。eNOSはインスリンにより発現が調節されることから、インスリン刺激におけるeNOSのリン酸化を検討した結果、アスタキサンチンは高血糖刺激により低下したeNOSのリン酸化レベルを改善した。さらに、アスタキサンチンは高血糖刺激により起こるPKC-βIIの活性化を抑制した。 本研究より、アスタキサンチンは炎症反応を抑制することに加え、インスリン抵抗性を改善することで、高血糖刺激による血管内皮機能障害を改善する可能性が示された。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
岸本良美、近藤和雄
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Journal Title
Modern Physician「アルコールと生活習慣病」(新興医学出版社)
Pages: 752-754
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[Journal Article]2009
Author(s)
岸本良美、近藤和雄
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Journal Title
食品保健の科学「循環器系疾患の予防をする食品、消化器系疾患の予防をする食品」(丸善株式会社)
Pages: 95-107
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