2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高出力・低消費電力スピンメモリの為のハーフメタルフェリ磁性体の開発
Project/Area Number |
08J03121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
窪田 崇秀 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スピントロニクス / ハーフメタル / ホイスラー合金 / フェリ磁性体 |
Research Abstract |
本研究では、次世代メモリとして有望視されているSpin-RAMに用いる磁気トンネル接合(MTJ)の磁化フリー層への応用を念頭に高スピン分極且つ低飽和磁化なハーフメタルフェリ磁性ホイスラー合金、Mn_2VAlの薄膜作製と物性の解明を目的として研究を行った。さらに、素子化の際に有用な、関連するホイスラー合金についても薄膜の作製と物性の系統的な調査に取り組んだ。Mn_2VAlについては、昨年度までに作製に成功した薄膜試料の磁気構造の詳細な解明に取り組んだ。実験では、軟X線磁気円二色性(XMCD)を用いた元素選択的な磁化曲線の測定を行い、Mn_2VAl中のMnとVがフェリ磁性的に真逆の磁化過程をとることを実験的に示すことに初めて成功した。さらに、磁気光学総和則を用いることでXMCDスペクトルよりMnとVの磁気モーメントを定量的に評価し、結晶のL2_1構造の長距離規則度の増大に伴って、各磁気モーメントも大きくなることを明らかにした。一方で、MTJの磁化固定層用高スピン分極材料として有望なCo基ホイスラー合金についても、スピン分極率に加え、交換スティフネス定数や磁気異方性定数磁気特性の系統的な調査を併せて行った。その結果、L2_1規則構造を有するCo基ホイスラー合金では、交換スティフネス定数(磁化の揺らぎに対する磁気的な硬さを表す量)が、hcp-Co(強磁性材料の中でも特に交換スティフネス定数が大きい)以上と非常に大きくなることを明らかにした。 以上の実験結果は、Spin-RAMをはじめとするスピントロニクスデバイスの高効率スピン偏極源開発のための指針と成り得る重要な成果である。
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Research Products
(16 results)