2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高出力・低消費電力スピンメモリの為のハーフメタルフェリ磁性体の開発
Project/Area Number |
08J03121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
窪田 崇秀 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スピントロニクス / ハーフメタル / ホイスラー合金 / フェリ磁性体 |
Research Abstract |
本研究では超大容量かつ超低消費電力のスピンRAM実現のために,高TMR比かつ低磁化反転電流密度のMTJ用ハーフメタルフェリ磁性体の開発を目的とし研究を行った。 研究初年度の内容として、スピンRAM素子の強磁性層へ用いることを念頭に、ホイスラー合金Mn2VAlのエピタキシャル薄膜の作製条件の確立と作製した薄膜の結晶・磁気特性の調査を行った。MgO単結晶基板上にスパッタ法を用い、Mn2VAlを成膜した。その際の基板の温度を300度から700度で変化させ、最適な成膜温度を調査した。その結果、基板温度500度から600度において、Mn,V,Alの各元素が規則配列したL2_1構造を有するエピタキシャルの薄膜が得られることが明らかになった。得られた薄膜の飽和磁化は150emu/cc程度とバルク値(400emu/cc)と比較して小さな値にとどまっている。しかしながら、MnとVの磁気モーメントが反平行に結合したフェリ磁性を有することを軟X線磁気円二色性の測定により確認しており、比較的良好な特性の薄膜の作製に成功している。上記の実験に加え、ホイスラー合金系の磁気特性等を系統的に調べ、理解するため、Co_2Fe_xMn_<1-x>Si(x=0-1)合金の磁気・結晶特性および、磁気抵抗効果に関する調査も行った。その結果、Co_2Fe_xMn_<1-x>Si合金の静磁気的な特性はおおよそこれまでに報告しているバルクのものと同様の傾向を示すことを確認したが、加えて、そのスピン分極率はx=0.5前後で最大となることを明らかにすることに成功した。以上の実験結果は今後ホイスラー合金を用いたスピンデバイスを高性能化するための指針となりうる重要な成果である。
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Research Products
(5 results)