2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン駆動型べん毛モータの動態の光ナノ計測と分子シミュレーション
Project/Area Number |
08J03125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 修一 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | べん毛モーター / トルク発生 / 1分子計測 / 細胞内pH / プロトン駆動型 / サルモネラ / 弱酸 / シミュレーション |
Research Abstract |
1.べん毛モーターの回転計測とシミュレーション サルモネラ菌のべん毛モーターは、細胞膜を介したH^+の電気化学的ポテンシャル差を利用して回転する回転ナノマシンであることが知られているが、そのエネルギー変換機構については、未だ不明な点が多い。本研究では、サルモネラ菌べん毛モーターの化学-力学エネルギー共役の仕組みを解明することを目的として、様々なpH条件および負荷条件のもとにべん毛モーターの出力特性の解析を行った。べん毛モーターの回転計測は、べん毛繊維に付着させた様々な大きさのビーズ(直径2.0μm〜0.1μm)の回転を4分割センサーやEMCCDカメラで検出するビーズ法により行い、サルモネラ菌べん毛モーターの出力特性を広範な負荷条件下で解析した。細胞内外のpHを変化させながら回転計測を行い、細胞内pHの低下によりモーターの回転速度が低下あるいは停止することを明らかにした。また、モーターの出力特性に対する細胞内外のpH変化の影響を、動力学的モデルを用いたシミュレーションで再現することに成功し、固定子プロトンチャネルのプロトン結合部位からプロトンが解離する過程がトルク発生反応サイクルの律速段階であることを明らかにした。これらの結果は、プロトン駆動型モーターの入力から出力に至るまでのエネルギー変換サイクルの律速段階を明確にした点で重要である。今後は、突然変異型べん毛モーターの出力特性解析およびシミュレーションも行う予定である。 2.べん毛モーター内部抵抗の計測 テザードセル強制回転システムを用いて行ったモーター内部抵抗の計測では、細胞内pHの低下によってプロトンの透過速度が遅くなるとモーターの内部抵抗が変化する傾向をとらえた。今後は、負荷条件や溶液条件等を検討することにより実験系の精度を向上させるとともに、突然変異型モーターを用いた実験も行う予定である。
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Research Products
(8 results)