2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03164
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中江 貴志 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自励振動 / 流体励起振動 / ギャロッピング / 不安定振動 / 動吸振器 / ディスクブレーキ |
Research Abstract |
本研究の目的は発生メカニズムの異なる自励振動系に抑制対策として動吸振器を適用し,あらゆる自励振動を完全に抑制できる動吸振器の最適設計法を体系化することにある.本年度は流体力係数が流れに向かう角度(抑え角)に依存して負性抵抗を有し,発生するギャロッピング現象に着目し,この自励振動を動吸振器を用いて抑制することを実験および解析で試みた.ギャロッピング現象は送電線に一定の速い風が吹き付ける際によく発生する現象として知られている. 本年度はバネで支持された溝型のアルミ材の主系に強風を送りギャロッピングを発生させるとともに,アルミ材に動吸振器を搭載して抑制実験を行った.さらに,負性抵抗を有する最も基礎的な1自由度非線形自励系であるレイリーの式を用いてギャロッピングをモデル化し,この自励系に動吸振器を取り付けたときの抑制効果を非線形解析し,実験との比較を行った. 実験および解析結果から,ギャロッピングを完全に抑制するためには動吸振器の固有振動数はギャロッピングの振動数に一致させること,つまり最適同調が必要であることがわかった.動吸振器に付加する減衰には最適減衰が存在することがわかった.また抑制可能な動吸振器の固有振動数領域よりも低い領域では主系と動吸振器は逆位相で振動するのに対して,高い領域では両者は同位相で振動することがわかった.これは位相差を見ることで最適同調領域の予測を立てることに利用できると考える. 以上の動吸振器の特徴は,過去に取り扱った負性抵抗に起因して発生する自転車用ディスクブレーキの鳴き現象に適用できる抑制可能な動吸振器の設計法と一致した.しかし,昨年度取り扱ったクーロン摩擦に起因する係数行列の非対称性によって発生する自動車用ディスクブレーキ鳴きを抑制するための動吸振器の特徴とは,動吸振器に必ずしも減衰を必要としない点で異なる特徴を示した.
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Research Products
(7 results)