2009 Fiscal Year Annual Research Report
世界的ツバキ名花‘玉之浦'を通した複色花発生機構およびヤブツバキ遺伝的分化の解明
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08J03185
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立石 信峰 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヤブツバキ'玉之浦' / 葉緑DNA変異 / 進化過程 / レフュージア / 花色変異 / アントシアニン / 色素生合成酵素遺伝子 / 発現量解析 |
Research Abstract |
本年度は,これまで未調査であった地域から収集したヤブツバキ(Camellia japonica)集団の葉緑体DNA分析と,'玉之浦'花弁における色素生合成酵素遺伝子のさらに詳細な発現量解析を行った. 【葉緑体DNA変異】福井県高浜町産3集団71系統,京都府舞鶴市産1集団35系統,沖縄県石垣島産1集団6系統,尖閣諸島産1集団2系統のヤブツバキを供試し,葉緑体DNAのハプロタイプを調査した.高浜町および舞鶴市集団の系統におけるハプロタイプは,日本本土で優先的に存在するHaplotype Iaであったのに対し,沖縄諸島集団の系統では,これまで九州西部の島々のみで見られていたHaplotype Ibであった.前年度までの結果から,前氷河期における我が国のツバキ属植物のレフュージアは九州西部の地域に存在していたと推察していたが,今回の調査結果によりレフュージアが現在の沖縄諸島にまで及んでいた可能性が示唆された. 【'玉之浦'花弁白覆輪形成機構解明】前年度は,色素生合成酵素6遺伝子について設計したdegenerate primerを用いたRT-PCRにより,白覆輪部位においてCHS遺伝子め発現量が部位特異的に低下していることを明らかにした.今年度は,6遺伝子のうち4遺伝子(CHS, F3H, DFR, ANS)のクローニングを行なってgene-specific primerを設計し,これらのプライマーを用いたRT-PCRによってもCHSの部位特異的発現量低下を認めた.次に5',3'RACE法を援用しCHSのcDNA全長配列を単離したところ,'玉之浦'花弁両花色部位においてCHS遺伝子の長さに違いが見られなかったことから,転移因子の挿入や重複・欠失といった遺伝子構造の変化は起きていないと推察された.
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Research Products
(6 results)