2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03192
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青沼 有紀 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 骨細胞 / 細胞バイオメカニクス / 細胞組織工学 / カルシウムイオン |
Research Abstract |
1変形中のマトリクス内の単一骨細胞について,変形状態と細胞応答を同時観察する実験系を確立した(学術論文として投稿中).実験系では,マトリクスの観察面に対し,顕微鏡ステージ上で二次元的な面内せん断変形を付与する力学実験を行い,蛍光観察系において細胞内カルシウムイオンの濃度変化を観察・評価した.これにより,変形付与中にともなう観察面の変化を低減させたうえで,マトリクスの変形にともなう骨細胞のカルシウム応答観察が可能になった.また,変形付与前後のマトリクスの組織断層撮影画像から,マトリクスおよび骨細胞に付与された変形を画像相関法を用いて解析し,カルシウム応答発生時の変位量およびひずみを計算することができた. 2in vitroで共培養した骨組織表面に分布するbone surface cell(BSC)と骨組織内部に分布する骨細胞に対して,単一細胞に局所的な力学刺激を付与する力学実験を行い,カルシウム応答の発生および応答の伝播を経時観察した.刺激を付与する細胞と伝播した細胞の種類ごとにカルシウム応答の伝播率を計算した結果,同じ細胞種間のカルシウム応答伝播発生率が異なる細胞種間の伝播発生率より有意に高いこと,また異なる細胞種間の細胞応答伝播に関しては,BSCから骨細胞に伝播する確率に比して,骨細胞からBSCに伝播する確率が有意に高い結果が得られた.この細胞種による伝播発生率の違いは,骨組織中における細胞間の力学刺激受容伝達メカニズムに対して,ひとつの知見を与えるものであると考える. 3過年度のin vitro培養系を用いた研究成果から,単一の単離骨細胞に対する局所的な力学刺激が引き起こすカルシウム応答について,細胞の局所部位と,アクチンフィラメントおよび細胞接着構造,力学刺激受容チャネルの分布を考慮した発生メカニズムを考察したうえで,学術論文として投稿した(修正投稿中).
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Research Products
(2 results)