2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03222
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
坪井 秀憲 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ホウライシダ / 葉緑体光定位運動 / 赤色光 / 青色光 / 微光束照射 |
Research Abstract |
本研究の目標は、葉緑体光定位運動おいて、光受容体から発せられ葉緑体に到達する信号物質の細胞内の伝播速度を割り出し、どのような物質の可能性があるか、どのような伝播様式であるかを推定することであった。そこでまず葉緑体が光に対して移動していく際の詳細な動き方を明らかにするため、ホウライシダ前葉体細胞を用いて、逃避反応を詳細に解析した。 暗順応させた細胞の中央部に残っている一つの葉緑体全体に光が当たるように、直径15μm、10Wm^<-2>以上の様々な光強度の青色微光束を短時間(15秒~1分)照射した。葉緑体は照射開始後約3分以内に微光束照射部位からの逃避を開始し、微光束の照射域外にまで逃避した。微光束照射終了後も数分間逃げ続け、逃避停止後は微光束照射部位へ向かう動きを示した。葉緑体が逃避し続ける時間や、最初の位置から逃げた距離、逃避速度は照射した総光量に比例した。また葉緑体の逃避方向は、ほぼ葉緑体が強光から最短距離で逃げられる方向であった。葉緑体の約半分に強光微光束を照射すると葉緑体は照射されていない側へ逃避する。同じ葉緑体の異なった部位に連続して光照射をした場合、葉緑体が逃避開始するまでの時間や移動速度には、葉緑体全体に強光微光束を照射した場合と同じ傾向が見られた。その際、葉緑体はほとんど回転せず違う方向へと動き始めた。以上のことから逃避反応をする場合、葉緑体は細胞内のどの方向へも動くことができ、動きに関する極性はないことがわかった。一方シダ植物における形質転換体の作成技術の開発も目標の一つであった。今までに様々な方法を講じているが現時点では未だ良好な結果は得られていない。現在シダ前葉体から作成したプロトプラストの再生系を構築し、プロトプラストを形質転換するために実験中である。
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Research Products
(4 results)