2009 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡多粒子系の緩和過程を渦運動・乱流の両視点より構造解析する非中性プラズマ実験
Project/Area Number |
08J03246
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河井 洋輔 Kyoto University, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非中性第プラズマ / 静電波・静電振動 |
Research Abstract |
本研究で研究代表者は、非中性電子プラズマを用い、不安定性から出発する渦群の集団相互作用を介した乱流緩和過程について、その緩和の後到達される大局的で安定な秩序構造までを視野に入れた実験研究を進めてきた。前年度までの研究では、この乱流緩和過程を、実空間上において観測される渦運動と、波数空間上で記述される乱流動力学の両視点から統合的に展開させることに成功した。 本年度は、この過程を経て形成される電子プラズマの秩序構造について調べるため、その固有振動数が、伝搬するプラズマの密度や形状等に依存すると理論的に予測されているDubin modeの波動特性について検討を行った。実験データの計測・解析と数値シミュレーションとを組み合わせた詳細な検討の結果、以下に示すような結果を得ることができた。 1.緩和過程を経て到達される秩序構造が、波動特性を記述する理論モデルで想定されるプラズマの密度分布に非常に近い形状を示すことが確かめられた。2.しかしながら、その中で励起されるDubin modeの固有振動数は、理論的に予測される値よりも系統的に高い値を示すことが分かった。3.そのような固有振動数の上昇が、プラズマを取り囲む導体境界壁に誘起される鏡像電荷によって引き起こされていることを明らかにした。 Dubin modeの波動特性については、これまで反陽子等の希少な荷電粒子群の各種パラメーターを非破壊的に計測する目的から実験研究が行われてきている。本研究成果は、そのような計測において従来用いられてきた理論モデルの問題点を指摘しており、近年CERN等で進められているCPT対称性の検証実験に対しても実用的な意義を持つものと考えている。
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