2009 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ内在性シャペロンの機能解析とその組み換えタンパク質発現系への応用
Project/Area Number |
08J03257
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 隼 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | BmHsp90 / BmHsp90コシャペロン / カイコホルモンレセプター / 安定化 / 転写活性 / 核移行 |
Research Abstract |
前回、BmHsp90とそのコシャペロン群に着目し、それらのカイコにおける保存性を明らかとするために、相互作用とその局在について解析を行った。結果として、BmHsp90は他の生物と同様にコシャペロンと複合体を形成している事が明らかとなった。そこで今回は、それらの機能を明らかとするため、それらが標的としている内在性ホルモンレセプターに着目し、様々な実験を行った。 まず、ホルモンレセプターとして、BmEcR、 BmUSP1、 BmUSP2、 BmFtz-F1に着目し、BmHsp90及びそのコシャペロンとの相互作用を調べた。結果として、BmHsp90とBmFkbp59がBmEcRとBmFtz-F1と相互作用する事が明らかとなった。EcRとHsp90の相互作用は他生物でも報告されているが、Ftz-F1に関しては今回が初めてとなった事は意義深い。また、BmFtz-F1は通常状態から主に核局在を示しており、シャペロンと共発現した場合、シャペロンが核移行することを明らかとしたが、個体を用いると、その現象は観察されず、培養細胞中の過剰発現系にのみ観察される、発現量依存的な現象なのかもしれない。 次に、シャペロンの持つホルモンレセプターに対する生理活性を調べるために、ホルモンレセプターの安定化及び転写の活性化を解析した。ホルモンレセプターは、哺乳類MAPKなどのHsp90依存的に細胞内発現量が安定化するタンパク質と比較して、BmHsp90にほとんど安定化を依存していないことが明らかとなった。しかし、シャペロンの過剰発現やノックダウンによって、EcRの転写が上昇及び減少することから、EcRは、シャペロンに安定化を依存しているわけではなく、翻訳後、転写を活性化するまでに必須な高次構造の変化をシャペロンに制御されているのではないかと推測された。
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Research Products
(3 results)