2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03259
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾関 美喜 Nagoya University, 教育発達科学研究科, 特別研究員DC-2
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Keywords | 迷惑行為 / 集団アイデンティティ / 組織コミットメント |
Research Abstract |
これまでの迷惑行為研究では,迷惑の判断理由を詳細に明らかにしたものがなかったため,集団内における迷惑行為の判断理由を自由記述調査によって詳細に検討する予定だったが,より詳細に検討するために,面接調査に変更した。 部活動・サークル集団に所属する大学生を対象として,面接調査を行ったところ,活動中に迷惑だと感じられる行為は集団活動に影響を及ぼす迷惑行為が中心であることが示された。こうした迷惑の判断はその場の状況が根拠となることが多いため,個別の行為ごとに根拠が大きく異なっていた。この面接調査の対象者は,質問紙で組織コミットメントについて回答していた。そのため,面接調査では,組織コミットメントと迷惑行為への対処行動についても尋ねた。その結果,組織コミットメントの高い成員は自ら積極的に迷惑行為に対処しようとするが,組織コミットメントの低い成員は迷惑だと感じていても特に対処行動をとろうとはしないことが示された。このことから,集団内で迷惑行為に対処しようとするのは,集団との結びつきが強い一部の成員に限られている可能性があることが考えられる。今回用いた指標は組織コミットメントであったが,集団アイデンティティも所属集団との心理的なつながりという点で組織コミットメントと非常に類似していることから,集団アイデンティティの強い成員が迷惑行為に対処しようとすることが予想される。 地域社会における迷惑行為に関する研究については,平成19年度に学会発表を終えている(尾関・朴・中島・吉澤・海上・原田・吉田,2007日本教育心理学会第53回総会にて発表済み)。ここでは,住民が協力して地域社会を統制できている程度,すなわち集合的有能感(Sampson et al.,1997)が高いと認知しているほど,子どもの地域に対する愛着が促進され,迷惑行為を抑制するとともに向社会的行動を促進することが明らかになった。
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Research Products
(4 results)