2008 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトールリン脂質代謝機構のFRETプローブを用いた時空間的解析
Project/Area Number |
08J03305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西岡 照子 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イノシトールリン脂質 / FRET |
Research Abstract |
(1)線維芽細胞における増殖因子による刺激応答の観察PI(3,4)P2、PI(3,4,5)P3、PI(4)P、PI(4,5)P_2およびDAGの局在をモニターする脂質FRETプローブをマウス繊維芽細胞(NIH3T3細胞)に発現させ、血小板由来増殖因子(PDGF)で刺激し、イメージングを行った。PDGFによる刺激2,3分後に形質膜の広がりとラフリングが見られ、同時にPI(3,4)P2、PI(3,4,5)P3、DAGの上昇が観察された。PI(4,5)P2は一過性に減少したのち突起部において再び上昇した。さらに、PDGF刺激分解あるいは産生されたPI(4,5)P2とDAGを放射同位元素32Pを用いてトレースしたところ、PI(4,5)P2の減少とDAGの増加の経時変化はイメージングから得られた結果と相関が見られた。したがって、PI(4,5)P2とDAGをモニターするFRETプローブが細胞内のPI(4,5)P2とDAGの変化量を検出していることが確認できた。(2)運動中のMDCK細胞におけるイノシトールリン脂質の分布・代謝機構の解析各種イノシトールリン脂質の局在をモニターするFRETプローブをサル腎由来細胞(MDCK細胞)に発現させ、細胞運動時の脂質の局在を生細胞にて観察した。その結果、PI(4,5)P2、PI(3,4)P2、PI(3,4,5)P3、DAGのいずれもが進行方向の先導端に集積していることがわかった。唯一の例外はPI(4)Pで、非対称な分布は示さなかった。そこで、これらのイノシトールリン脂質がどのように代謝されているのかを明らかにするため、代謝に関わる酵素の阻害剤を用いて運動を観察した。その結果、細胞の極性形成・細胞運動にはPI(4,5)P2とその産生酵素であるI型PIP(5)キナーゼが重要であること、PI(4,5)P2の分解酵素としてPLCとPI(3)キナーゼが知られているが、PLCのほうがPI(3)キナーゼよりも寄与が大きく活性は進行方向で高いことが明らかになった。さらに、これらのリン脂質群は数分以内の半減期の代謝回転速度を有していることも明らかになった。
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Research Products
(3 results)