2008 Fiscal Year Annual Research Report
オートファゴソーム形成後期課程における分子機構の解析
Project/Area Number |
08J03321
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田口 奈緒子 Osaka University, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オートファゴソーム / PI(3)P / ホスファチジルイノシトール / ホスファターゼ / オートファジー |
Research Abstract |
オートファジーは近年、細胞成分の代謝回転に加え病原性細菌に対する感染防御等種々の重要な役割が明らかとなりつつある。従って、オートファジーの分子機構の解析は、生理現象の解明のみに留まらず疾病治療への応用という観点からも興味深く、生物学的・医学的に重要な知見の提供が期待される。これまでの報告によってオートファジーの初期段階にPI3-キナーゼカ泌要であることや、オートファゴソームの内側の膜にPI(3)Pが局在していることは知られていたがホスファチジルイノシトールとオートファジーの関係は解明されていない。そこで私たちはPI(3)Pホスファターゼに着目して研究を行っている。 動物細胞において細胞内のPI(3)P量を調節しているという報告のあるホスファターゼMTMR3を細胞に過剰発現させオートファジーによるタンパク質の分解量を測定したところMTMR3野生型を過剰発現させた細胞ではオートファジーが抑制されていることが明らかとなった。また、ホスファターゼ活性を失活させたMTMR3変異型を過剰発現させると飢餓条件下で活性化されるオートファジーが栄養条件下でもコントロールの細胞に比べ優位に促進していることが明らかとなった。蛍光顕微鏡を用いた観察においても同様の結果を示唆するデータを得ている。 一方、酵母においてはMTMR3と同じミオチューブラリンファミリーのYmr1というホスファターゼが存在している。このYmr1を欠損した酵母では細胞内のPI(3)P量を含め、これまで特筆すべき表現型がないとされてきた。ところが我々の研究によって、栄養条件下の野生株では見られないようなATGタンパク質のドット状の蓄積が顕微鏡観察による解析で明らかとなった。 以上の結果より、酵母から動物細胞に至るまで本質的なオートファジーの調節にPI(3)Pホスファターゼの活性が関与していることが強く示唆された。
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Research Products
(3 results)