2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03336
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
光岡 寿郎 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミュージアム / メディア / コミュニケーション / イギリス / 空間性 / ミュージアムコミュニケーション |
Research Abstract |
平成21年度の研究成果に関しては、平成20年度に比して充分な成果が上がったと考えている。後述の研究発表欄にも記載通り、査読論文を2本を上梓し、学会発表を3回(うち国際学会での発表2回)行った。平成20年度の研究経緯を鑑み、同平成21年度に関しては、当初の研究実施計画を修正し、「ミュージアムをメディア」として把握するための方法論的な枠組みの提出を優先することとした。そのための具体的な取り組みとして、英米圏における来館者研究の歴史をコミュニケーション論の視点から批判的に再構成にした論文。及び、1990年代の英米圏のミュージアム研究が見落としてきた、同年代を代表するイギリスのメディア研究者のロジャー・シルバーストーンのミュージアム論を手がかりに、ミュージアムを「メディアコンプレックス」として概念化することに成功している。 前者は、日本では実践的な概念として扱われる傾向の強かった「ミュージアムコミュニケーション」概念が持つ理論的な歴史的経緯を示した点で、今後日本で同概念を援用した実証研究が行われる際の指針となり得る。また後者に関しては、メディアコンプレックスという方法論的枠組みを提出したことで、ミュージアムを、空港やデパートといった異なるメディアによって構造化された空間の関係性のなかに布置し、メディアに媒介された空間の消費というメディア研究における新たな視座を提示することができたと考えている。これら両者の研究は、今後進める「ミュージアムというメディア」の実証研究と組み合わせることで、より包括的な「ミュージアムのメディア論」としての可能性を有している。
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Research Products
(4 results)