2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03378
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松野 啓太 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 人獣共通感染症 / フィロウイルス / C型レクチン / ウイルスの細胞侵入機構 / 性状解析 |
Research Abstract |
本年度は主に、フィロウイルスの細胞への侵入機構について調べた。 マールブルグウイルス中でも比較的病原性の高いアンゴラ株および比較的病原性の低いムソキ株のGPを用いてVSVシュードタイプウイルスを作出し、その感染性を調べた。フィロウイルスの分離に用いられるVero E6細胞では、ウイルス間の違いは認められなかったが、C型レクチンを人為的に発現させたK562細胞にはアンゴラ株のシュードタイプウイルスの方が高い感染性を示した。次に、アンゴラ株およびムソキ株のGPのキメラ体を作出し、それらのキメラGPを持つシュードタイプウイルスのC型レクチン発現K562細胞への感受性を比較し、C型レクチン介在性の細胞侵入効率の違いに影響を及ぼすGP上の領域の決定を試みた。その結果、GP中のC末端側領域が重要であることが明らかとなった。さらに、この領域中のアミノ酸を詳細に解析したところ、547番目のアミノ酸(アンゴラ株ではグリシン、ムソキ株ではバリン)がウイルスのC型レクチン介在性細胞侵入効率を決定していることが明らかとなった。 フィロウイルスの感染を阻害する、抗Vero E6細胞モノクローナル抗体M224/1の性状解析を行い、フィロウイルスが細胞侵入の際に利用する特異的レセプターの同定を試みた。しかし、M224/1は生細胞やメタノール、ホルマリン等で固定された細胞とは反応するものの、細胞可溶化液とは反応せず、M224/1が認識する蛋白質の単離には至らなかった。しかし、生細胞を用いた解析により、M224/1の標的蛋白質はサルの細胞であるVero E6細胞だけでなく、ヒトの細胞、特に単球系の細胞にも発現していることが明らかとなった。
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