2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03378
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松野 啓太 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 人獣共通感染症 / フィロウイルス / C型レクチン / ウイルスの細胞侵入機構 |
Research Abstract |
これまでの研究で、マールブルグウイルス株間のC型レクチン介在性細胞侵入効率は表面糖蛋白質GPの547番目のアミノ酸によって決まることが明らかとなった。ホモロジーモデリング法により、既に結晶化および立体構造解析がなされているエボラウイルスGPに基づいてマールブルグウイルスGPの立体構造を推定した。その結果、547番目のアミノ酸は、レセプター結合部位や糖鎖に富む領域ではなく、膜融合に関わる構造の一部であることが分かった。また、このアミノ酸は細胞のプロテアーゼであるcathepsinによる切断を受ける領域と隣接している可能性が示唆された。そこで、in vitroでエボラウイルスの感染を阻害すると報告されているcathepsin BあるいはLの阻害剤を用いて実験を行った所、どちらの阻害剤もマールブルグウイルスGPを持つシュードタイプVSVの感染を阻害した。また、C型レクチン発現細胞においては、より強毒のアンゴラ株のGPを持つウイルスの方が、阻害剤存在下でもムソキ株GPを持つウイルスよりも効率良く細胞に感染したが、C型レクチン非発現細胞では差は見られなかった。C型レクチン発現細胞におけるcathepsin阻害剤感受性の差は、547番目のアミノ酸を両株のGP間で入れ替えることで逆転した。これらの結果から、マールブルグウイルスGPの547番目のアミノ酸はC型レクチン存在下においてcathepsin感受性の差を決定する因子である可能性が示された。
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