2008 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患における腸管神経‐グリア細胞系の機能変化の解明
Project/Area Number |
08J03403
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 真津香 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | enteric glia / enteric neuron / bradykinin / interleukin-1β / lipopolysacharide / prostaglandin E_2 / B1 receptor / cyclooxygenase-2 |
Research Abstract |
【具体的内容】報告者は、ラット腸管神経叢の初代培養より得られた神経-グリア細胞の共培養系を用いて、bradykinin(BK)が腸管神経細胞の興奮性を増加し、このBK作用が腸管グリアから放出されるPGE_2によって調節を受けることを報告していた。しかしながら、これは炎症性腸疾患で増加するBKの腸管神経系に対する生理的メカニズムを示すものであり、炎症性腸疾患(IBD)で機能変化した腸管神経系への作用を検討していなかった。本研究では、IBD患者の血清中での増加が報告されているlipopolysacharide(LPS)、炎症性サイトカインを神経-グリアの共培養系に添加することにより、in vitro炎症モデルを作製した。その結果、腸管グリアはLPSによりinterleukin-1β(IL-1β)を放出させ、このIL-1βは自己分泌性に作用し、腸管グリア細胞上に特異的蛋白(B1 receptor、COX-2)が発現すること、その結果、腸管グリアによるPGE_2を介した腸管神経調節が変化することを明らかにした。 【意義、重要性】 本研究で対象としているIBDは、ヒト炎症性疾患においてわが国でも最近急激に増加しており、有効な診断・治療法が望まれている疾患である。IBD病態に関する国内外の研究はこれまで、腸管神経系における細胞レベルでの機能異常に着目したものが少なく、また、腸管グリアが関与する可能性を示した報告はほとんど無かった。本研究の成果により、IBDにおける腸管機能異常に腸管グリア特異的な変化が関与していることが示され、さらに、腸管グリアが腸管の局所免疫に関与する可能性が示された。
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Research Products
(4 results)