2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血回復期における制御性T細胞の意義と治療への応用
Project/Area Number |
08J03408
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
七田 崇 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | サイトカイン / 脳虚血 / 組織障害 / インターフェロン / インターロイキン / シグナル伝達 / マクロファージ / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
これまでに脳虚血発症2日以内の、超急性期における免疫応答のメカニズムについては研究が進んでいたが、その後の免疫応答についてはあまり解明されていない。実際の脳梗塞患者においても、脳梗塞発症1週間以内に、発症時よりも神経症状が増悪する患者が20〜30%いることから、脳虚血発症1週間前後は免疫応答に伴う神経障害が進行しているものと考えられる。よって、脳虚血発症48時間後〜1週間程度の間における免疫応答の制御が患者の予後改善、社会復帰に重要である。最近、このような脳虚血時のダメージにTリンパ球が関与していることが、リンパ球欠損マウスを用いた脳虚血実験で、初めて明らかとなった。そこで本研究ではサイトカインノックアウトマウスとマウスの中大脳動脈閉塞による脳虚血モデルを用いて、リンパ球によって引き起こされた炎症と組織障害について検討した。脳虚血に陥った組織周囲において、Tリンパ球の組織内分布やサブタイプ(Th17、Th1を含む)の経時的変化、IL-47,IFNγやTGFβなどの産生をFACS、免疫組織染色を用いて調べた。その結果マウス脳虚血モデルの増悪化にIL-23とIL-17が強く関与し、IL-6やIFNγの影響は大きくないことが判明した。さらに脳内に浸潤したT細胞の表面マーカーからIL-17産生細胞はTh17ではなく活性化されたγδT細胞であることが明らかとなった。さらにγδT細胞を欠損させたマウスでは虚血障害が減少した。これらの結果から脳虚血における新たなT細胞とサイトカインの役割が明らかになった。
|