2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血回復期における制御性T細胞の意義と治療への応用
Project/Area Number |
08J03408
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
七田 崇 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サイトカイン / 脳虚血 / 組織障害 / インターフェロン / インターロイキン / シグナル伝達 / マクロファージ / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
最近脳梗塞における炎症においてもT細胞が促進的な役割を果たすことが明らかにされつつある。これらの炎症性T細胞の機能を抑制することができれば、新たな神経保護療法を開発できる可能性がある。我々は脳梗塞に対するFTY720(Fingolimod)の治療効果を検討した。FTY720は脳梗塞内へのマクロファージの浸潤は妨げないが、T細胞の浸潤を減らし、発症4日目の脳梗塞体積を有意に縮小することが分かった。これらの結果から脳内にT細胞が浸潤することが脳梗塞の病態の進行に重要であると考えられた。つぎにどのサイトカインが重要かを調べるために、IL-23やIL-17、IFNγの遺伝子欠損マウスを用いて脳虚血モデルを作成し、脳梗塞体積を比較した。その結果、IL-23欠損マウスおよびIL-17欠損マウスで有意な梗塞体積の減少が認められた。また、IL-23欠損マウスでは虚血脳内のIL-17産生細胞が著明に減少することから、脳虚血早期にマクロファージが産生するIL-23が、脳虚血遅延期に浸潤するT細胞のIL-17産生を誘導していると考えられた。一方IL-17産生T細胞は当初想定していたThl7ではなく、γδT細胞であった。TCRγδ抗体を投与することによって体内のγδT細胞を除去すると脳内に浸潤したIL-17産生細胞は著明に減少し、脳梗塞体積も縮小した。これらの結果から脳虚血亜急性期に浸潤したγδT細胞はIL-17を産生することによって病態を悪化させていると考えられる。抗体によるγδT細胞の除去は発症24時間を経過してから行った場合でも有意な神経保護効果がみられた。このような炎症性T細胞の機能を調節することにより、脳梗塞の発症24時間以後でも開始できるような神経保護療法が開発できる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)