2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J03439
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐野 勝彦 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 様相論理 / ハイブリッド論理 / クリプキ意味論 |
Research Abstract |
本年度の最も大きな成果は、プライアーが取りあげD.ルイスが彼の著作『反事実条件法』の中で練り上げた文脈確定記述を扱う論理(文の真理を個体に相対化する)のハイブリッド論理による現代的精密化を与えたことである。これは欧文誌Journal of Logic,Language and Informationに採択された。この成果に至るプロセスで、プライアーやD.ルイスらは文の真理を扱う際に世界や時間や個体のそれぞれの次元を独立に扱うことが多かった点に注目し、これらの次元を一挙同時に扱うことが可能な多次元版ハイブリッド論理を提案し、複数の学会で研究発表を行った。この成果に関してはさらに研究内容を深めた上で来年度に査読付き論文誌に投稿予定である。また、クリプキ意味論の代替として、プライアーも先鞭をつけていた、可能世界概念に訴えない「□Aは真iff Aは必然的に真」と真理条件を与えるホモフオニック意味論を取り上げ、その哲学的・論理学的研究に関してサーヴェイを行った。この成果は科学哲学科学史研究第三号に掲載された。最後に、ユークリッド空間の拡張様相論理の準備的研究として、「ハイブリッド論理でクリプキ意味論をどう越えるか」という学会発表を行い、証明体系へのよりよい意味論的理解を得るために、位相意味論を考察することが有用であることを論じた。この成果に関しても研究内容を深めた上で来年度に査読付き論文誌に投稿予定である。
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