2008 Fiscal Year Annual Research Report
極低温電子顕微鏡によるロッド・軸受け・フックの高分解能構造解析
Project/Area Number |
08J03489
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 高志 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | べん毛 / 構造生物学 / 電子線構造解析 / 電子顕微鏡 / ナノマシン / 分子モーター |
Research Abstract |
(1)distalロッド-Pリング軸受け複合体大量精製万法の確立 ClpP遺伝子の欠損によって菌体あたりのべん毛の数が増えることが知られており、これによってべん毛基部体の精製量をこれまでの約4倍に増やすことに成功した。この菌株からのdistalロッド-Pリング軸受け複合体を使って現在、極低温電子顕微鏡によりデータを収集中である。 (2)フックの高分解能での構造解析 低分解能での解析にとどまっていた(約15Å分解能)フックの高分解能解析(7Å分解能)に成功した。フックはユニバーサルジョイントとしてモータとフィラメントを繋ぎ柔軟に曲がる。これまで明かになっていなかったフッチューブの中心構造は短長2本のαヘリッグスからなり、この長さの違う2本のαヘリックスが繊維軸方向にルーズにパッキングしており、外側にある2つのドメイン間相互作用だけでなく、この中心部分の分子間相互作用も曲げに柔軟な構造に寄与していることが新たに明らかになった。(論文準備中) (3)分解能4Åを目指したロッドとフックの構造解析(高分解能情報を保持した画像取得法の探索) 画像解析上の工夫では、らせん状複合体由来の制約条件を単粒子解析法に取り入れることで、アラインメントの精密化と良い画像を選別するプログラムを作成した。極低温電子顕微鏡による撮影条件の系統的評価をおこない、氷包埋試料の作成におけるより良い条件を見つけ出した。この条件により高質画像取得の歩留まりがよくなり高分解能解析(7Å)をハイスループットで行なうことができるようになった。今後、収集データを増やすことによって4Å分解能を目指す。
|