2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物の防御機構に対する植食性昆虫の対抗適応メカニズムの分子基盤の解明
Project/Area Number |
08J03494
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
網干 貴子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物の直接的防御 / FAC / 鱗翅目昆虫 / ヒドロキシ脂肪酸 / エリシター / 揮発成分 / キチナーゼ / トウモロコシ |
Research Abstract |
植物は植食性昆虫に食べられないよう様々な防御機構を持つが、昆虫は植物の防御機構に対し適応するためのメカニズムを発達させている。したがって植物が本来持つ防御機構を植物保護・害虫管理の手法に効果的に応用するためには昆虫の機構メカニズムの解明が必要である。鱗翅目幼虫の吐き出し液や腸内に含まれるvolicitin [N-(17-hydorxylinolenoyl)-L-glutamine]は植物に揮発成分の放出を介した間接液防御反応を誘導する昆虫由来エリシターであり、その構造は17位に水酸基を持つlinolenic acidとglutamineがアミド結合した縮合物である。17位の水酸基の有無はエリシター活性に大きく影響するが、幼虫の組織や糞からは17位が酸化された脂質がほとんど検出されず、その動態が不明であった。そこで鱗翅目ヤガ科ハスモンヨトウ幼虫体内におけるヒドロキシ脂肪酸、およびその代謝物を探索した。幼虫の腸および糞をchitinaseで処理し、脱脂後の残渣をsodium methoxideで処理した後のmethanol可溶成分からmethyl 17-hydroxylinolenateを検出した。腸を除いた虫体や幼虫の人工飼料に同様の操作を行ってもmethyl 17-hydroxylinolenateは検出されず、volicitin類とは異なる17-hydroxylinolenic acidの縮合物が幼虫腸内で生合成されている可能性が示唆された。本研究で示唆された17-hydroxylinolenic acidの縮合物の存在についてば解析中であるが、本成果は鱗翅目幼虫の脂肪酸代謝の解析において新たな手がかりとなりうる。
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Research Products
(8 results)