2009 Fiscal Year Annual Research Report
収束的合成法を用いた海洋産ポリ環状エーテル類の高効率全合成
Project/Area Number |
08J03507
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 優樹 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シガトキシン / ポリ環状エーテル / カップリング反応 |
Research Abstract |
本特別研究員は、海洋産ポリ環状エーテルであるイェッソトキシンとシガトキシンを標的分子として合成研究を行っている。この研究で明らかになった合成上の問題点を解決し、効率的な合成ルートを確立するのが目的である。ポリ環状エーテルの効率的な全合成を達成するためには、分子をいくつかのセグメントに分割し、それぞれを連結することで収束的合成を行うのが定石である。そこで、基本戦略として当研究室で開発した鍵反応、すなわちルイス酸による分子内アリル化反応とルテニウム触媒による閉環メタセシスを用いるセグメント連結法を用いて合成研究を進める。 本年度はシガトキシンの全合成研究の一環として、E環部の合成を行った。E環部はAB環部との連結、またはH環部との連結に用いられる重要なセグメントであること、そして構築が困難な8員環骨格を有することから、効率的な合成ルートの確立が必要である。そこで、以前、当研究室で開発したエノールトリフラートと有機亜鉛反応剤とのカップリング反応を鍵段階として合成を行うこととした。 1,6-ヘキサンジオールを出発原料とし、数段階の変換を行った後、山口ラクトン化により8員環ラクトンを合成した。このものに対し、定法により対応するエノールトリフラートへの変換を試みたが、目的物は痕跡量しか得られなかった。種々検討した結果、1,3-ジオール部位の保護基をアセトナイドに変更することでエノラート化が収率良く進行することが分かった。得られたエノールトリフラートに対し、パラジウム触媒存在下、有機亜鉛反応剤とのカップリング反応を行ったところ、期待通り反応が進行し、カップリング体を得ることができた。その後、三枝酸化により環内部のオレフィンを導入することでE環部の合成に成功した。
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