2008 Fiscal Year Annual Research Report
液/液界面ギブズ膜におけるドメイン構造の物理化学-「線」の立場からの研究-
Project/Area Number |
08J03516
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 大樹 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 液 / 液界面 / ギブズ膜 / ドメイン / フルオロカーボン / 熱力学 / 分光学 |
Research Abstract |
本研究は液/液界面ギブズ膜に形成するドメイン構造のサイズ決定因子や安定性の条件を,熱力学的視点(界面張力測定および熱力学解析)および分光学的視点(X線反射率測定)を組み合わせ,「線」という立場から明らかにするものである.本年度は基準となる基準となるフルオロカーボン(FC)アルコールがヘキサン/水界面で形成するドメイン構造との比較を行うことを目的に,FCアルコールーFCジオール混合物がヘキサン/水界面で形成する吸着膜構造の決定を行った.界面張力の高精度測定と熱力学理論解析から定量的かつ合理的に解釈することに成功し,分子配向の全く異なるドメイン(垂直配向ドメインと水平配向ドメイン)が共存する界面不均一構造を見出すに至った,さらにこの膜状態を微視的観点からさらに詳細に検討するために,高輝度放射光施設SPring-8においてX線反射率測定を行った.2次元検出器の導入により,該当領域でのX線反射率を精度よく測定することに成功した.今後,ドメインの被覆率をパラメータに加えた詳細なフィッティング解析を行うことでギブズ膜構造を分子スケールで解明していく. また,異なる観点から「線」の効果を検討することを目的に,バイロイト大学(独)のThomas Fischer教授のもとに短期間赴き,ドメイン境界線に働く力の直接定量を試みた.FCアルコールの水表面単分子膜に対して蛍光顕微鏡とIRレーザーを用いた光ピンセットとを組み合わせ,凝縮膜ドメインの形態観察および気体膜ドメインの消失過程を研究した,観測されたドメインサイズやその緩和過程は,フルオロカーボン/空気間の表面張力がハイドロカーボン/空気間に比べて低いために小さなドメインに分散しようとする傾向が強いことを示すものであり,本研究テーマの主題の1つである界面活性物質の構造の違いによるドメインのサイズや安定性の変化を明確に表す結果を得るに至った.
|