2008 Fiscal Year Annual Research Report
外来魚ブラックバスの防除法開発と問題解決に向けた学際的研究
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08J03522
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
角田 裕志 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 外来種 / オオクチバス / 湖沼 / 生物多様性保全 / 在来種 / 採餌生態 |
Research Abstract |
異なる規模・形態を有する水域である湖沼とため池を対象として、ブラックバスの1種オオクチバスの採餌生態と在来生物に与える影響を明らかにするために、本種の胃内容物分析と魚類採捕調査を実施した。まず、湖沼の事例として山梨県西湖及び精進湖について調査したところ、両地域ではハゼ類やエビ類が主な餌となっていた。しかし、これらの餌生物は豊富に生息しており、本種とこれらの生物種が共存状態にあることがうかがえた。次に、本種の影響がより深刻とされる農業用ため池の事例として、岩手県奥州市において調査した。一部のため池では、湖沼と同様にオオクチバスがハゼ類を餌としており、環境中にもハゼ類を始め多様な在来魚が生息していたのに対し、その他のため池ではオオクチバスの餌が昆虫や動物プランクトンであり、在来魚類もほとんど確認されなかった。潜在的な魚類相が類似すると考えられる同地域内の複数のため池を対象として、オオクチバスが生息する池と生息しない池の魚類相を比較した。その結果、ドジョウは全ての地域で共通にみられたが、モツゴ、フナ類、タイリクバラタナゴといった止水性のコイ科遊泳魚類、ハゼ科魚類はオオクチバスが生息するため池において個体数が少なかった。つまり、これらの魚類はオオクチバスの捕食の影響を受けやすい在来魚である可能性が示唆された。しかし、一例ながらオオクチバスが多数生息し、在来魚を餌としているにも関わらず、ハゼ類やオイカワを始め、豊富な在来魚類が確認されたため池も存在した。このように、オオクチバスの影響は水域によって大きく異なることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)