2010 Fiscal Year Annual Research Report
青枯病菌に感染するバクテリオファージの解析とバイオコントロールへの利用
Project/Area Number |
08J03533
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤原 亜希子 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 青枯病菌 / バクテリオファージ / バイオコントロール / 植物病理学 |
Research Abstract |
(1)RSL1ファージの青枯病菌バイオコントロールツールとしての有効性の検証 昨年度の結果から更に発展し、土に植えたトマト苗(全長25cm:各11サンプル)を用いて、RSL1処理による青枯病菌発病予防効果の検証を行った。結果、青枯病菌感染18日後において、RSL1未処理では発病率100%であったのに対し、事前のRSL1処理を行った場合は全く病徴が確認されず、非常に顕著な発病予防効果が認められた。また、RSL1は高温な土壌中(37℃及び50℃)でも非常に安定的に存在し、圃場での実用において有効である事が示された[以上の内容について現在論文投稿中(申請者がFirst author)]。 RSL1は通常のファージとは異なり、菌体を完全に溶解するのではなく菌体量を一定に保つ事により耐性菌等の爆発的な増殖を抑制するという非常にユニークな効果を有すると推測される。そこで感染30hにおけるtotal RNAを取得しマイクロアレイ解析を行った結果、特異的な高発現が見られたものが12遺伝子存在した。これら遺伝子の菌体増殖抑制及び発病予防への関与が示唆され、その中でも特に発現上昇が顕著であったORF137は、青枯病菌へと形質転換した結果、増殖抑制効果が認められた。 (2)青枯病菌におけるファージ耐性獲得機構についての解析 昨年度の実験において得られたRSA1 and/or RSB1ファージ耐性変異株の内、LPS合成関連酵素である、ADP-heptose合成酵素またはADP-L-glycero-D-mannoheptose-6-epimeraseに変異が生じていた変異株は、当研究室で保有しているPs29株(野生株)に感染可能な全てのファージに対しても耐性であった。よって、LPSの中でも特にheptoseの正常な生合成が広範なファージの感染に必要である事が示唆された。また、これらの変異体ではTwitting motilityの著しい低下が認められた。このように、広範なファージ耐性を獲得した株はそれと引き換えに運動性を失う傾向にあり、同時に植物病原性の低下も生じている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)