2008 Fiscal Year Annual Research Report
中性フェルミ・ボーズ原子気体の超流動に関する理論的研究
Project/Area Number |
08J03546
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 雅裕 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ポーズ・アインシュタイン凝縮(BEC) / 動的不安定性 / スピナーBEC / コアレス量子渦 / 強磁性 / 反強磁性 |
Research Abstract |
研究目的の一つであるスピン自由度を解放したボーズ・アインシュタイン凝縮(BEC)の集団励起を解明するにあたって、まず、F=1スピナーBECで実現するコアレス量子渦状態と呼ばれる状態の動的不安定性を詳細に調べた。動的不安定性は、系の励起状態を計算することによって、その固有値に虚部を持つものをそれとした。なぜなら、このようなモードでは、波動関数が自発的に、時間発展とともに減少または発散するためである。F=1スピナーBECでは、内部自由度が3つあり、その量を磁化Mとして特徴付けることによって、Mの変化に伴う動的不安定性の発生を調べた。先行研究では、高次量子渦に関して動的不安定性が発見されている。これは磁化M=-1の場合に相当している。本研究では、強磁性的な相互作用領域において、M=-1およびその近傍で同様の不安定励起を見つけた。反強磁性的な領域では、広いMの領域にわたって同じ動的不安定性が発現することが分かった。また、これに加え、反強磁性的な相互作用によって生まれる新しい動的不安定なモードを発見した。本研究の成果は、スピナーBECの集団励起についての基礎的な知見を得たことである。その中でも動的不安定性に注目したことで、その発現メカニズムを明らかにし、実験での実現に向けての可能性や方向性を与えることができた。今後、ダイポール相互作用の効果を入れることで、新奇な興味深い現象が発見されることが期待できる。
|
Research Products
(7 results)