2008 Fiscal Year Annual Research Report
酵素触媒を利用したイオウ含有生分解性高分子材料の環境低負荷型合成
Project/Area Number |
08J03564
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 誠 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酵素触媒重合 / チオール / ジスルフィド / チオエステル / 架橋 |
Research Abstract |
環境低負荷型触媒である酵素による、新規イオウ含有高分子の創成を目的とし、主鎖中にイオウを含むポリチオエステルの合成及びペンダントに遊離チオールとしてイオウを含むポリエステルの合成について検討を行なった。 環状チオエステルの酵素による開環重合挙動を解析したところ、律速段階が末端チオールによる基質-酵素複合体(EAM)への求核攻撃段階であることが明らかとなった。この特異な性質を利用し、ペンダントに遊離チオールを有するポリエステルの合成を行った。 Candida antarctica由来固定化リパーゼ(Novozym435)を触媒として用いることで、ヘキサン-1,6-ジオールのヒドロキシ基と2-メルカプトコハク酸ジメチルのメチルエステル間で重縮合反応が選択的に進行し、側鎖に遊離チオールを有するポリエステルがワンポットで合成された。ポリマー中の側鎖チオールの割合は共重合化することで任意に制御することが可能であった。特に、共重合体はBOD法により良好な生分解性を示した。 酵素触媒重合法により得られた側鎖チオール含有ポリエステルは、DMSO中、70℃で側鎖チオールのジスルフィドへの酸化に伴う架橋反応が容易に進行した。架橋反応後、クロロホルム不溶の白色固体が得られた。本ジスルフィド型架橋ポリエステルを解架橋し、易リサイクル型架橋ポリマーを目指すうえでは、今後架橋密度を制御するなど更なる検討が必要であることが明らかとなった。 以上のことから、酵素触媒を利用した重縮合による側鎖チオール含有ポリエステルの新規合成法が提唱された。酵素の特徴である官能基選択制を利用することで、特徴的な構造を有するポリマーがワンポットかつ環境低負荷な反応条件で合成された。
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Research Products
(4 results)