2010 Fiscal Year Annual Research Report
キラリティ制御による単分子磁石と単一次元磁石の作り分け
Project/Area Number |
08J03603
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
濱松 武史 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単分子磁石 / 単一次元磁石 / キラリティ / 分子認識 / 銅 / ランタノイド |
Research Abstract |
この研究は「分子磁性」研究のハイライトである単分子磁石と単一次元磁石を作り分ける合成法を見出そうとするものである。1993年のMn_<12>クラスターにヒステリシス、磁気緩和、量子効果が発見されたことに端を発する単分子磁石、単一次元磁石は「磁石」の概念を越えた物質であり、一つの分子があたかも磁石の様に働くものである。基礎科学的にも究極の分子デバイスとして実用面からも大きな注目を集めている。 単分子磁石は実験的、理論的に精力的に研究され、ある分子が単分子磁石となるためにはS=10を超える高スピン状態と磁気異方性を持つことが条件であることが判明した。しかしながら、この条件を満足した遷移金属クラスターを分子設計して合成することは難しく、ヒステリシス(磁石として働く)を示す温度も極低温に止まっている。申請者の所属する研究室は環状4核3d-4fヘテロ金属集積による新規の単分子磁石の合成法を提示して注目を集めた。(Osa et al. J.Am.Chem.Soc., 2004, 126,420-421.)この方法は、希土類イオンの磁気異方性に着目し、3d-4f金属イオン間の磁気的相互作用を取り込んだ合理的方法として、現在広く用いられている。この方法により、多くの研究者が単分子磁石さらには単一次元磁石の合成に成功している。 本研究の第一般階では、分子認識に注目して環状構造と一次元無限鎖状構造を作り分けるものを目的としたものである。また、研究の第二段階では軌道角運動量を有するテルビウムなどの4f金属を導入することにより単一次元鎖磁石に誘導する。
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